2012年8月14日火曜日

放射性物質を含む廃棄物の要望書についての県からの回答


先月県に出した要望書の回答が返ってきました。
今回は放射性物質を含んだ焼却灰を埋め立てている処分場のかさ上げ
問題も含んでいます。放射性物質の含有の有無に拘わらずとの文言にあるように
放射性物質を含んだから許可基準の変更があると言う考えはないようです。

                                  平成24 年7月24 日
放射能を考える佐久地区連絡会御中

長野県環境部長
放射性物質を含む廃棄物の埋め立て処分に関する要望書について(回答)
平成24 年6月20 日付けで提出のありました標記要望書については、以下のとおりです。

1.受入基準の引き上げについて
放射性物質を含む廃棄物の受入基準については、事業者が自主的に定めているものであり、放射性物質汚染対処特別措置法で定める基準である8000Bq/kg 以下である限り、法的な制限を課すことはできません。
また、事業者では、今回の受入基準の見直しにあたり、周辺地域の自治会等や小諸市と締結している公害防止協定に基づく協議を行い合意していることから、協定で定める必要な手続きは実施されています。
県としては、安全・安心の観点から、事業者に対して、受入廃棄物中の放射性物質の濃度だ
けでなく、あらかじめ受入廃棄物のコンクリート固化物のサンプルを作製し、放射性物質が水
に溶け出さないことを確認するなど、新規の受入に際して慎重に判断するよう指導しています。
小諸市については、他市町村からの新規受入の際に実施する事前協議の状況を県に報告してもらうなど連携して対応しているところですが、今後は、排出元の市町村に対して焼却灰中の放射性物質濃度の測定頻度をあげるよう要請するなどの取り組みも検討してまいります。
さらに、周辺環境への影響の有無を確認するためのモニタリングの一環として、大気中の浮
遊物質に係る放射性物質の調査を実施することについても検討することとしております。

2.放射性物質の漏えい対策について
県では、本年4月に放射能対策アドバイザーを3名の専門家に委嘱したところであり、必要
に応じてアドバイザーの意見も聞きながら、放射性物質のモニタリングの実施と受入状況を含
めた情報公開を継続し、周辺住民の安全・安心の確保に努めてまいります。
処理に伴う放射性物質を含む焼却灰等の飛散については、事業者が受け入れる焼却灰等の性状を飛散しにくい湿灰に限定していること、また、敷地境界及び場内で定期的に実施している空間放射線量の調査において周辺と比較して高い値は確認されていないことなどから、そのおそれはないものと判断しています。
しかしながら、こうしたご懸念の声にお応えするために、大気中の浮遊物質に係る放射性物
質の評価の基準や、土壌粒子の巻き上げによる影響など、調査方法や評価方法に係る必要な検討を実施した上で、上記1でもふれました、周辺環境への飛散の有無を確認するための調査を実施する方向で調整してまいります。

3.最終処分場のかさ上げ許可について
県では、フジコーポレーションが設置する最終処分場について、平成20 年11 月27 日付けで
かさ上げに伴う埋立容量の増加に係る変更許可を行いました。そもそも廃棄物の埋立処分に当たっては、放射性物質の含有の有無に拘わらず廃棄物の飛散防止の措置を講ずることが必要であり、変更許可申請の際にはそうした観点を含め、許可基準に照らして厳正な審査を実施しています。
今後、当初の埋立計画高に達した段階でかさ上げのための工事が実施されますが、工事実施前に埋立地盤の強度等について県が確認することとしており、その際には、念のため放射性物質の大気中への飛散についての調査を実施することも検討してまいります。
また、廃棄物処理法では、廃止された最終処分場を「廃棄物が地下にある土地」として県知
事が指定することとされており、指定された土地の掘削等を行う場合は事前に県知事への届出が必要であり、勝手に土地を改変することはできない制度が設けられています。
加えて、事業者に対しては、最終処分場廃止時の措置として、擁壁に防水処理を施して外部
環境の影響を受けにくくした上で、更に擁壁と同じ強度のコンクリート壁を外周に打設し、必
要に応じて擁壁を覆うように土盛りするなど、擁壁の劣化に十分配慮するよう求めているとこ
ろです。
これらの措置が適切に講じられ、県による確認を適宜実施することにより、最終処分場の廃
止後においても長期間の安全性が確保されるものと考えています。
なお、放射性物質を含む廃棄物が埋め立てられている処分場の廃止基準については、現在、国において検討されておりますので、国の動向を注視するとともに、基準が示されれば事業者を適切に指導してまいります。
次に、生活環境影響調査書の記載ですが、ご指摘を受けて再度確認したところ「逆浸透膜法」と記載されている部分がありました。当該部分は単純な記載の間違いであり、事業者では当初
から水処理施設を「液中膜法」として設計・申請しており、生活環境影響評価においても「液
中膜法」による性能で評価しているため、生活環境影響調査における評価結果には問題ありません。
調査書の誤記載を訂正させず、不要なご心配をおかけしたことについてお詫び申し上げます。
なお、塩化物イオンについては有害な物質ではないため、そもそも河川水に係る環境基準は
設けられておらず、最終処分場からの放流水についても法的な規制はありません。ただし、人為的な影響を受けた排水等に一般的に多く含まれる物質であることから、これらの混入がないことを確認するための指標として水道水では塩化物イオン濃度を200mg/L 以下とする基準が定められており、最終処分場においても遮水シートからの漏えいがないことを確認するため、周辺井戸において塩化物イオン濃度が急激に増加することがないか監視することを義務付けています。
また、事業者では周辺環境に配慮して、放流水の敷地境界における塩化物濃度を250mg/L 以
下とする自主基準を定め、放流槽の水を希釈してから敷地外に放流しています。事業者が実施している敷地境界における放流水の検査結果についても、事業者ホームページに掲載するよう
指示したところであり、現在は過去のデータも含めて敷地境界における放流水の塩化物濃度が250mg/L 以下であることが確認できますので、申し添えます。

4.住民説明会の開催について
県では県下4会場において防災研修会「放射線、原子力災害を学ぶ」を開催しており、佐久
地域では7月29 日(日)に県佐久勤労者福祉センターで開催します。防災研修会では、前回開催した説明会の中で住民の方から要望がありました放射線の健康影響について、放射線医学総合研究所の専門家から詳しく説明することとしております。
放射性物質を含む廃棄物の埋め立てに限定した説明会を再度開催することについては、風評被害につながることを懸念する住民の声なども寄せられていることから、開催のあり方を検討
してきたところです。
まずは、貴連絡会を通じてご質問やご要望をあらかじめお伺いした上で、貴連絡会会員を中
心にある程度参加人数を限定させていただいた場において、それらのご質問等に対する県の考えを説明し、率直な意見交換をさせていただくことが、最も有意義であると考えております。

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